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台湾進出における企業税務の全体像 ― 日本企業がまず押さえるべきポイント ―

  • 2月14日
  • 読了時間: 5分

更新日:6 日前

台湾進出を検討される際、多くの企業が最初に気にするのが「税制」です。

海外の税務と聞くと複雑な印象を持たれがちですが、実際のところ台湾の税制は比較的シンプルであり、日本と比較すると税率も低水準にあります。


もちろん詳細に踏み込めば専門的な論点も存在しますが、本記事では台湾でビジネスを行う上で必ず押さえておくべき企業税務の全体像を、実務目線で整理してご説明します。



① 台湾の税制度の全体像


台湾・税制度・法人税

まずは、会社の所得に課される「法人税」についてです。

台湾の法人税率は、年間所得が12万台湾ドル(約60万円)を超える場合、原則一律20%となっています。


日本との大きな違い

日本の場合、法人税に加えて地方税(法人住民税・法人事業税等)が課されるため、実効税率は概ね30〜34%程度になります。

一方、台湾では日本のような地方税が存在しません。そのため、実効税率は基本的に20%のみとなります。

この点は、日本企業から見ると大きなメリットといえるでしょう。


拡大書審制度について

営業収入と営業外収入の合計が3,000万台湾ドル以下の法人については、「拡大書審制度」という簡便的な申告制度を利用できるケースがあります。

この制度を活用することで、実質的に20%以下に抑えられる場合もありますが、一定の前提条件や判断が必要となるため、本記事では詳細には触れず、基本税率である20%を前提に説明します。




② 税引後利益の取り扱い


台湾:税引後利益への課税

法人税を支払った後の「税引後利益(純利益)」の扱いについても整理しておきましょう。

台湾で得た純利益の活用方法は、大きく分けて次の2つです。


1. 内部留保する場合

利益を配当せず、台湾法人内で内部留保した場合、通常の法人税20%とは別に、未処分利益に対する5%の追加課税が行われます。

日本では、特定同族会社等を除き内部留保そのものに課税されることはほとんどありません。

しかし台湾では、内部留保を選択すると5%が課税対象となります。

なお、この未処分利益課税は、2018年以前は10%でしたが、現在は5%へ引き下げられています。


2. 日本の親会社へ配当する場合

もう一つの選択肢は、日本の親会社へ配当金として送金する方法です。

台湾では、外国法人に対する配当には原則21%の源泉税が課されます。

例えば、100万台湾ドルを日本へ配当する場合、21万台湾ドルが源泉徴収され、日本法人が受け取るのは79万台湾ドルとなります。


軽減税率の適用(10%)

ただし、所定の手続きを行うことで、源泉税率を10%へ軽減することが可能です。

必要な主な手続きは以下の2点です。


A. 居住者証明書の提出

日本の親会社が、日本の税務署から発行された居住者証明書を台湾の税務当局に提出します。


B. 租税協定適用の申請手続き

日本と台湾の間には「日台民間租税取決め(いわゆる日台租税協定)」が存在します。

台湾法人を通じて事前に国税局へ軽減税率適用の申請を行うことで、10%の適用が可能となります。

実務上は、顧問会計事務所と連携しながら進めることになります。




③ 営業税 ※日本の消費税に相当


台湾の営業税(消費税)

次に、日常取引に関わる「営業税」です。

台湾の営業税率は5%で、日本の消費税(10%)の半分です。しかし、制度運用は非常に厳格です。


統一発票の重要性

台湾でビジネスを行う上で欠かせないのが「統一発票」です。

台湾では、日本の一般的な領収書では経費として認められません。

必ず会社の8桁の「統一番号」が記載された統一発票を受領する必要があります。

この統一発票がなければ、仕入税額控除ができません。


つまり、

・売上時に預かった5%の営業税

・経費支払時に支払った5%の営業税

この差額計算ができなくなり、結果として実質的な税負担が増えてしまいます。

台湾においては、統一発票の管理体制が極めて重要です。




④ 台湾の納税スケジュール


台湾納税スケジュール

台湾税務当局は期限管理に非常に厳格です。

1日の遅延でも延滞税が発生するため、正確なスケジュール管理が求められます。

台湾法人が押さえるべき主な納税スケジュールは以下の4つです。


1. 営業税の申告・納付

営業税は2ヶ月ごとに申告・納付を行います。

申告期限は奇数月の15日までです。

これは台湾事業運営における基本中の基本となります。


2. 法人税の確定申告

台湾の会計年度は法人設立時期に関わらず、1月から12月が原則となっています。

そして、法人税の確定申告は会計年度終了後から5ヶ月目に行わなければなりません。

そのため、12月決算の会社の場合、申告期間は5月1日から5月31日の間となります。

なお、日本の親会社に合わせて3月決算に変更したいという日本企業も多くあります。その場合、届出を行うことで会計年度の変更が可能となります。

この場合でも法人税の確定申告は会計年度終了後から5ヶ月目となり、例えば3月決算の場合、8月1日から8月31日が申告期間となります。

・12月決算 → 申告期間:5月1日〜5月31日

・3月決算(変更届出済)→ 申告期間:8月1日〜8月31日


3. 法人税の中間申告

これは会計年度終了後9ヶ月目に行う必要があります。

12月決算の場合、翌年9月1日から9月30日までがこの法人税の中間申告期間となります。

予定申告として前年度の法人税額の半分を納付することとなります。 なお、前年度が赤字決算の場合にはこの中間申告は免除されます。


4. 源泉徴収税

給与や報酬等に係る源泉税は、支払月の翌月10日までに納付が必要です。




⑤ まとめ

台湾の税制は、日本と比較すると低税率でシンプルな構造ですが、

・未処分利益課税(5%)

・配当源泉税(原則21%、軽減10%)

・統一発票の厳格管理

・厳守すべき納税スケジュール

といった台湾特有のルールを正しく理解し、適切に運用することが重要です。

税率の低さだけに着目するのではなく、制度設計・資金還流・実務運用まで含めて設計することが、台湾進出成功の鍵となります。



動画での詳しい説明

【台湾進出】税率は日本より低い?|日本企業が抑えるべき台湾の税制と納税スケジュール





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