台湾人材市場のリアルな給与相場と離職率
- 19 時間前
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台湾進出や事業拡大を検討する際、「いかに優秀な人材を採用し、長く活躍してもらうか」は、経営層・人事責任者にとって最重要テーマの一つです。
しかし、日本の採用常識をそのまま台湾に持ち込むと、想定外のミスマッチや早期離職を招く可能性があります。
本記事では、データをもとに台湾人材市場の実態を整理し、
給与構造・地域差・業界差・離職傾向を踏まえた採用戦略のポイントを解説します。
① 台湾の給与水準

2025年時点における台湾の全産業平均月収は、今の円安環境下(1台湾ドル = 日本円5.0円換算)で約23万〜24万円程度です。
ただし、この平均値は高所得のIT・半導体エリート層によって押し上げられています。
実際の労働者の中央値は約19万円前後であり、一般職採用の目安としてはこちらを基準にする必要があります。
② 台湾の最低賃金

台湾政府は毎年最低賃金を引き上げています。
2025年の基本時給は190台湾ドル(約950円)に達し、日本の地方都市の最低賃金とほぼ同水準です。
もはや「台湾=安価な労働力」という前提は成立しません。
特にサービス業・小売業では、最低賃金近辺での人材争奪が激化しており、数千台湾ドルの差で転職が発生する市場構造となっています。
③ 台湾地域別の平均給与

次に、エリア別の給与格差について見ていきましょう。
台湾で一番給料が高い都市は、実は首都の台北ではありません。
第1位は「新竹(しんちく)」です。台湾のシリコンバレーと呼ばれ、新竹サイエンスパークの存在もあり半導体産業の本社が集中しているため、平均年収は649万円とダントツです。
一方の台北は、高給なエリートもいますが比較的賃金の低いサービス業も多いため、平均値では3位の約473万円に留まります。つまり、「台湾のどこに拠点を構えるか」で、採用の相場は全く変わってくるんです。
④ 台湾の業界別平均給与

台湾の給与構造は、業界による二極化が顕著です。
ハイテク・金融業界では、「分紅(業績連動賞与)」文化が根付いており、年収600万円超の水準も一般的です。
一方、飲食・サービス業では200万円台が中心であり、業界間で約3倍の格差が存在します。
この構造を理解せずに台湾平均で採用予算を組むと、大きな誤算が生じます。
⑤ 採用難易度の二極化

給与格差は、そのまま採用難易度の差に直結します。
■ ハイテク・金融層
給与は世界市場と連動。
「台湾だから安い」は通用せず、日本本社と同等以上を想定する必要があります。
■ サービス・小売業
給与水準は低めですが、最低賃金に近いため引き抜き競争が激しい市場です。
どちらの層を採用するのかによって、戦略はまったく異なります。
⑥ 台湾の新卒採用 ― 完全ジョブ型社会

日本企業が誤解しやすいのが、新卒採用です。
台湾では、日本型の「一律スタート」「ポテンシャル重視育成」は一般的ではありません。
・専攻分野(文系/理系)で初任給が大きく異なる
・院卒は大卒の1.5倍以上の給与も珍しくない
・即戦力性が強く求められる
台湾は本質的にジョブ型社会であり、「大学で何を学び、何ができるか」が明確に評価されます。
⑦ 平均勤続年数と離職率

台湾の20代・30代の平均転職サイクルは約1.5〜2.5年です。
転職理由の第1位は「給与への不満」(約40%)。
社内昇給は年3〜5%程度ですが、転職すれば10〜20%上昇することも珍しくありません。
優秀な人ほど「社内でじっと評価を待つ」より、「外部で自分を高く売る」という選択をします。
⑧ 人材流動性の実態

台湾で早期離職が起きやすい背景には、偶発的な要因ではなく、構造的な理由があります。ここでは特に重要なポイントを3つに整理します。
1. 「2年」がキャリアの基本サイクル
台湾では、2年を1つのキャリアサイクルとして捉える人が多く、日本のような「石の上にも三年」という価値観は一般的ではありません。
2年経過しても大きな給与アップが見込めない場合、本人は「自分の市場価値が伸びていない」と判断し、次の機会を探し始めます。
2. 会社ではなく「専門スキル」に帰属するジョブ型志向
台湾では、会社への帰属意識よりも、自分の専門スキル(職能)への帰属意識が強い傾向があります。
そのため、社内に希望するポジションや成長機会がない場合は、「社内で待つ」よりも「外で探す」という選択が合理的になり、転職への意思決定が速くなります。
3. 旧正月明けに起きる“転職市場のピーク”
もう一つ特徴的なのが、旧正月明けに起きるいわゆる「民族大移動」です。
台湾では、年末ボーナスを満額受け取ってから退職するのが一般的な行動パターンとなっており、この時期には全労働者の約8〜9割が転職市場をチェックすると言われています。企業側の体感としても、旧正月前後は人材の流動性が一気に高まるタイミングです。
まとめ)台湾人材の採用と評価制度

最後に、日本企業が台湾で優秀な人材を獲得し、かつ定着を実現するためのポイントを整理します。
まず重要なのは、「台湾=安価な労働力」という前提を見直すことです。
現在の台湾人材市場は、業界・地域ごとに相場が大きく異なり、意思決定や転職のスピードも日本とは大きく違います。そのため、現地の実態に即した給与水準とスピード感に合わせて、人事制度そのものを設計する必要があります。
具体的には、台湾一律の基準で考えるのではなく、進出するエリアや属する業界に応じて最適化した給与予算を確保することが不可欠です。
また、日本型の長期育成モデルを前提とするのではなく、台湾における「2年サイクル」のキャリア観を踏まえ、成果が適切かつ迅速に評価へ反映されるインセンティブ制度へと切り替えていくことが重要です。
これらを前提に制度設計を行うことが、台湾市場で持続的に優秀な人材を確保し、企業成長へとつなげていくための重要な鍵となります。
台湾での採用やマネジメントは、文化やスピード感の違いから最初は戸惑うことが多いかもしれません。しかし、現地のリアルなルールを正しく理解し、適切な制度を整えれば、優秀でエネルギーに満ちた台湾の人材が必ず企業の成長を力強く後押ししてくれます。
ワークキャピタル株式会社の台湾人材採用代行
台湾での採用やマネジメントは、文化やスピード感の違いから最初は戸惑うことが多いかもしれません。
しかし、現地の市場構造を正しく理解し、制度設計を最適化すれば、台湾の優秀でエネルギッシュな人材は企業成長を強力に後押しします。
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